防災の対策マニュアル「第二回 自助-災害発生時の行動の重要性について」

地震発生時の屋外の様子

 前回は、防災の基本的な考え方である「自助」「共助」「公助」について書きました。

 今回から、この3つについて個別にわかりやすくご紹介していきます。

 まずは自助に関する内容としまして、災害発生時の行動の重要性についてです。

 災害発生時の色々な行動をご紹介させて頂くのですが、今回防災について様々な情報を見聞きして思いましたのは、ノウハウを知っただけで満足するのではなく、実際に試しに行動してみたり、周りを見渡してみたりすることが大事、ということです。

 実際に災害が発生した時の精神状態の中では、読んで納得しただけの知識は役立たないと思いました。

 若いころは、避難訓練?めんどくさい~、といった感じでしたが、今になってその重要さがわかります。最近は訓練には積極的に参加するようにしてます。

 なんといっても、「自助」自分の命を守るためです。

 本サイトの内容は、公共機関のサイトの内容を基に記載しております。参考にさせて頂いたサイトは記事内に列挙しておりますので、そちらのサイトのほうもぜひご覧ください。

自然災害の脅威

 自助とは、一人一人が「自分の身の安全を守る」ということです。自分の身体が使えなくなってしまったら、大切な家族を守ることは出来ません。

 共助や公助も無意味になってしまいます。

 共助や公助もとても大切ですが、自助はそういう意味でとても大切な考え方なのです。

 自分の身の安全を守るための行動の考え方についてご紹介する前に、自分の身を守るためには、前もって、襲ってくる脅威がどのようなものなのかを知っておく必要があると思いますので、地震と津波についていくつか事例を紹介させていただきます。

 まずは地震の事例です。

倒壊した家(神戸市)
まずは家ですが、地盤や材質の違いにより、あっという間に倒壊する場合があります。倒壊は免れたとしても、室内は身動きが困難な状況になりやすいです。

写真提供:神戸市

地震で倒れた棚
棚が倒れることによる被害は、日中と深夜とで全く異なります。

「チャレンジ!防災48」より引用

次は、屋外の影響を見てみます。

倒壊した住宅で道路が見えない
ここは片道一車線の国道だそうです。瓦礫に埋もれてしまって、ここが道路だったことが判らない状況になっています。

写真提供:神戸市

場合によっては、壁が崩れ落ちてきて、下敷きになる可能性もあります。

「チャレンジ!防災48」より引用

また阪神・淡路大震災時には、ビルの屋上の看板の落下や、エアコンの室外機なども道路に散らばっていたそうです。

山間部では、当然ですが、崖崩れの危険を伴います。

完全に通行不能です

「チャレンジ!防災48」より引用

 次は津波の事例です。

 津波の場合は、規模にもよりますが、東日本大震災の場合は、街全体が消失してしまうほどの影響が出てしまいました。

街が飲み込まれてます

出典:東北地方整備局(震災伝承館)

ここは3階建ての建物の屋上だそうです。ここまで酷いとは思ってませんでした。

「チャレンジ!防災48」より引用

ここに掲載している画像は以下の外部サイトより引用させていただいております。

 引用させて頂いた画像はほんの一部です。

 各サイトは、震災を後世に継承することを目的として作成しておられるようですので、ぜひ訪問して頂いて、他の記録もご覧いただければと思います。

災害発生時の行動・身の守り方

 では、このような強大な自然災害(地震・津波)から身を守るには、どのように行動すれば良いのでしょうか。

災害が発生しそうな状況、発生したことを知る

 まずは、災害がもうすぐ発生する、若しくは発生したということを知ることから始まります。

 その手段としましては以下のものがあります。

  • 自分で見たり感じたりする
  • 近所の人から教えてもらう
  • テレビやラジオの緊急地震速報
  • 携帯電話の緊急地震速報
  • 防災行政無線放送

など

 これらによって災害発生を認識した場合は、直ぐに自助の行動を行う必要があります。

災害発生時の行動

 災害発生時の行動については、様々な公共機関によって資料が公開されてます。

 本記事では、私が実際にサイトを閲覧して学習した、行動や身の守り方のポイントをまとめさせて頂きました。

 様々な公共機関の災害サイトを見たのですが、発生時にいる場所によって分けて考えたほうが良いようです。

 よって、本記事では以下のように分類しました。

(1) 屋内

  • 住宅、職場、デパート、スーパー、映画館、学校など
  • エレベータ

(2) 屋外

  • 住宅地、繁華街
  • 地下街
  • 山、丘
  • 海岸、河川の近く

(3) 車内

  • 電車、バスなど

 順に解説していきます。

(1) 屋内

住宅、職場、デパート、スーパー、映画館、学校など

 まずは、住宅、職場、デパート、スーパー、映画館、学校などの屋内について、重要なポイントを3点ほどご紹介します。

1.頭を守る

 災害対策サイトを見ていて良く目についたのが「頭を守る」行動についてです。

 身体で一番大事な部分を真っ先に守る行動は、どんな場所にいたとしても真っ先に行った方が良いようです。

 机やテーブルの下に逃げ込むと同時に、頭も守りましょう。

2.慌てて外に出ない

 「外に出ない」という文章は、災害時行動として結構見かけたのですが、私はどうも引っかかるものがありました。

 といいますのは、棚が倒れてきたリ家が倒壊したりして閉じ込められる危険性を無視することができないのです。

 私が調査したところでは、外には家の中以上に危険なことが数多く存在していることがあるので、家の周りの環境や災害発生時の状況によっては家の中にいた方が安全な場合がある、ということのようですね。

 例えば地震の場合、屋根瓦や門柱、ブロック塀などの落下や倒壊などが発生したり、電柱が倒れて電線に触れてしまう危険性など、命を落としかねない事故に巻き込まれることが考えられます。

 しかし、もし自宅が瓦を使ってなくて、塀もない、地盤のしっかりした広い土地に1件しかないような環境に建っているとしたら、外の危険性よりも自宅の倒壊の危険性の方が高くなり、少しでも早く外に出たほうが良いと思います。

 環境によって最善の行動というのは様々ということになります。

 一番良くないのは、何も考えずに、家が壊れたら危ないから外に出なきゃ、という安易な考えで行動してしまうことです。

 そういう意味で、「慌てて外に出ない」をポイントとして挙げさせていただきました。

慌てて外に出るととても危険です!

 日頃から、家の中や周囲で、どこが安全でどこが危険かチェックする習慣をつけることをお勧めします。

3.コンロやストーブの火を消すより身の安全を最優先に

 直ぐそばに火のついたコンロやストーブがあって、ワンタッチで消火出来るのであれば消した方が良いのですが、少し離れた場所や、棚が倒れたりガラスが散乱してしまっていて直ぐに消せないのであれば、決して無理せずに身の安全の確保を最優先に行動したほうが良いそうです。

 最近はほとんどの機器に、自動消火装置がついていますので、まずは身体を守るのが先決ということです。

 消すのは、地震などが一時収まってからにしましょう。

 また、お持ちの火を使う機器や熱源となる家電に自動消火もしくは自動OFFの機能が付いているか確認しておくことも大事ですね。

以上3点を重要ポイントとして挙げさせていただきました。

 他の項目としましては、以下のようなものがありました。

  • 棚などから離れる。転倒、落下物に注意。
  • 深夜の場合はむやみに動かない。
  • エレベータは使わない。階段を使う。
  • 大きな建物では柱付近に身を寄せる。出口に殺到しない。
  • 体育館や運動場などでは、中央部に避難する。
  • ガラス面から離れる
  • デパートやスーパーなどの店内や学校などの場合はスタッフや教員の案内に従って行動する。案内がない場合でも、慌てて非常口などに駆け出すと危険。
  • 直ぐ近くにドアがある場合は、余裕があれば開けて通路を確保する
エレベーター

 エレベーター利用中に災害に遭う場合もありえます。

 その際の行動としましては、以下のようなことが記載されてました。

  • 全ての階のボタンを押す。エレベーターは最寄り階で止まるため、揺れによる閉じ込めを防ぐことにつながる。
  • 非常用呼び出しボタンで連絡する。

 実際にその場面になったときに、冷静でいられるかとても不安ですが、事前に上のような内容を知っているのと知らないのとでは大違いだと思います。

(2) 屋外

 屋外にいた場合でも、屋内と同様に「頭を守る」を基本行動として、身の安全の確保を最優先に行います。

住宅地、繁華街
  • 電柱・自動販売機・ブロック塀などから離れ、あわてずなるべく広い場所に移動する。
  • 屋根瓦・エアコン室外機・看板・植木鉢などの落下物に気を付け、建物から離れる。
  • 道に瓦礫やガラスなどが散乱する場合があるので、移動する際あわてない。
地下街
  • 地下街は出口は数多く確保されているので、1つの出口に殺到しない。移動するときは壁づたい。
  • 管理者の避難誘導に従い、周囲の人々と協調した冷静な行動をとる。
山、丘
  • 山は落石に注意しつつ、崖や傾斜のきつい場所から離れる。
海岸、河川の近く
  • 海岸の場合は、可能な限り高台に避難。建物3階以上の高さが望ましい。
  • 川の流れに垂直方向に避難する。
  • 津波からの避難は一刻を争うので、もし海のそばで大きな揺れを感じたら、警報が出る前でも、各自の判断で近くの高台や頑丈なビルや施設の上に避難する。
  • 津波の前に、海水が大きく引いていく引波現象が起こる場合があるので、海の様子を見に行くような行動は絶対に取らない。引き波に巻き込まれると沖合まで流される可能性がある。
  • 河口から離れた地域でも川沿いから離れる。
  • 木造家屋に住んでいる方は、すぐに高台などの安全な場所へ避難する。
  • 津波は海底から海面までの水が一気に陸地へ押し寄せる現象なので、たとえ30cmの津波でも、屈強な人でさえ簡単に流されてしまう。
  • 「小さな揺れでは津波は来ない」というのは誤りで、過去に、震度4程度の揺れだったが、その後に押し寄せた津波で約2万人を超える方が亡くなったことがあった。

(3) 車内

  • 運転中の場合は、急ブレーキ厳禁。ハザードランプを点滅させ、周囲の車のスピードを意識しながら緩やかに速度を落とす。
  • 路肩に寄せて停止して揺れが収まるまで車内に。
  • 避難する場合は貴重品(車検証含む)を持ち、徒歩で避難。窓を閉めて、ドアロック無しで、キーはつけっぱなし。
  • 高速道路では、上の対応に加えて、ハザードで周囲に注意喚起し、路肩に安全に停車して、非常口から徒歩で避難。
  • 緊急車両などが通るため、車を離れる場合はキーをつけたまま離れる。
電車、バスなど
  • 公共の乗物の場合は、緊急停止に注意し、あとは乗務員の指示に従う。

 以上です。

 災害発生時の行動について書いてきましたが、災害を乗り越える確率を少しでも上げるためには、なんといっても発生時の行動が重要です。

 これまでに挙げた内容を踏まえて、普段自分が行動するパターン全てにおいて、日頃から考えておく、更に行動訓練を行っておくことが大事です。

「第二回 自助-災害発生時の行動の重要性について」を終わります。

次回は、
第三回 自助-災害一旦収まってから避難するまでの行動ポイント
です。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

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