いまわしきナチス・ドイツによる大量虐殺が行われた強制収容所アウシュヴィッツ。絶対に忘れてはならない歴史のひとつですね。
ナチス・ドイツの卑劣さは「シンドラーのリスト」や「アンネの日記」などの有名な作品である程度は知っていたのですが、ひとつの映画との出会いで、今までの理解度があまりに浅すぎることを痛感させられました。
その映画は「夜と霧」です。
本記事では、強制収容所アウシュヴィッツの真実を世の中に広めることを目的として制作された映画「夜と霧」の解説記事になります。
アウシュヴィッツ強制収容所とは
アウシュヴィッツ強制収容所は、当時のドイツの占領地だったポーランドの南部にありました。現在は世界遺産に指定されてまして、ポーランド国立オシフィエンチム博物館によって管理されています。
ナチス・ドイツは、当時ユダヤ人の組織的な大量虐殺を行ってました。
この虐殺は、ユダヤ人の思想的な問題の排除というよりも、ユダヤ人の人種を根絶することが目的だったのです。ですので、子供や赤ちゃんも当然のように虐殺対象でした。
ナチスは、ユダヤ人や反ナチス分子、戦争捕虜、犯罪者などを収容する施設として、当時のナチス・ドイツ占領地に数多くの強制収容所を建設しました。
そこで様々な手段によってユダヤ人や捕虜などを虐殺したのです。
その収容所の中で最も大きな施設がアウシュヴィッツ強制収容所でした。
強制収容所で行われていた処分は想像を絶する方法で行われていました
アウシュヴィッツ強制収容所の虐殺と聞きますと、ガス室で毒ガスを使った方法を思い浮かべる方が多いと思います。
直接的な手段として、さらに効率的に大量虐殺を行う方法としてガス室虐殺は用いられました。銃殺も日常的に行われていたようです。
しかし、以下のような人間を使い捨ての道具のように使用して虐殺する方法も行われていたのです。
強制労働
労働力として役に立たない女性や子供、老人などは真っ先にガス室などで虐殺されたのですが、成人男性などはわずかな食事で重労働させて、倒れたら処分するという残虐行為も行っていました。
ただ殺すのではなく、労働力を絞れるだけ絞ってから処分するという、ある意味直接的な手段より非人道的な方法ですよね。
しかも、働き先は収容所内の施設や軍事施設の建設などがあったようですが、ナチス・ドイツ国内の企業で働かせることもあったようです。民間企業も加担していたのですね。
移植対象物
ナチス・ドイツ国軍のために、骨や筋肉、神経などの再生に関する研究の材料を取得したり、骨を抜き取って負傷兵に移植したりしていたそうです。
各部位を取得する際には、被験者に麻酔は使用されず、アフターケアなども無かったようです。
薬物効果の実験台
マラリア治療法やマスタードガスで負傷した場合の治療法などの開発のための実験台として利用されていたそうです。
実際にマラリアに感染させた後に薬剤を投与してその薬の効果を試したり、マスタードガスで意図的に負傷させた後で、様々な著療法を試してみるといったことも行われていました。
生活用品の材料
人間の身体を使用して石鹸や敷物、照明などを製造していたのではないか、という話しが語り継がれているようです。
後ほどご紹介します映画「夜と霧」の中でも、人体から石鹸を製造する実験が行われていたという説明や、採取した髪の毛を使用して作ったとされている敷物の映像が出てきます。
これらについては現在でも事実かどうかはわかっていないそうです。
人種の根絶が目的なのに、国益になるものを搾り取ってから処分するという行為を平然と行っていたとはビックリです。
映画「夜と霧」の映像はとても直視できない衝撃的な内容でした
「夜と霧」は、アウシュヴィッツ強制収容所で行われた惨劇を事実として伝えるための記録映画です。
1955年に公開されました。
日本では1961年公開です。日本での初公開時には、内容があまりに残虐すぎるということで数分間ほどカットされて公開されたのですが、現在発売されているDVDなどはノーカット版で、全て入っています。
映画撮影当時のカラー映像と戦時中のモノクロ映像が交互に映されてまして、とても斬新な内容になっています。
最初は、カラー映像で映画撮影当時のアウシュヴィッツ強制収容所が紹介されます。とてものどかな風景で悲劇の舞台とはとても思えない映像です。
と思った次の瞬間、戦時中の白黒映像に切り替わります。
白黒映像は、静止画だけでなくもちろん動画もあります。白黒動画には音声は無いのですが、それが一層悲壮感を引き立たせています。
カラー映像で映画撮影当時のある建物が映されて、次に戦時中のその建物の映像やそこで行われた惨劇の映像が映されるという感じに展開されますので、カラー映像で映されるのどかな風景が次第に違った風景に見えてくるのです。
戦時中の映像は、最初の方は収監されていく場面や、アウシュヴィッツ強制収容所に到着後の映像が続くのですが、次第に映像が衝撃的になっていきます。
後半の映像はかなり衝撃的ですので覚悟の上で見てください。
日本で映画が初公開された際にカットされたのは後半の映像だそうです。白黒映像ですので見れましたが、カラーだったらたぶん見れなかったと思います。
それほど衝撃的な映像ですので解説はご勘弁ください。
この映画が残っている限り、アウシュヴィッツ強制収容所の真実も残り続けると思います。
おわりに
映画の題名になっている「夜と霧」といいますのは、ヒトラーが極秘で発令した法律でして、ナチス・ドイツの治安を危険にさらす人間を夜中に密かに連行して霧のようにどこかに消え去るという意味が込められているそうです。
連行対象者には、政治犯や反ナチス勢力が含まれていましたが、ユダヤ人もその対象だったようです。
私は、アウシュヴィッツ強制収容所についてはある程度知っていましたが、お恥ずかしながら「夜と霧」という言葉は初耳でした。
この言葉も、あのいまわしきナチス・ドイツの歴史の一部だったんですね。
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