本記事でご紹介しますMX Anywhere 3ワイヤレスマウス(本記事ではMX Anywhere 3と書きます)は、プロクリエーターの方はもちろんのこと、ビジネスユーザーやパソコンのヘビーユーザーの方にも満足してもらえるようなマウスです。
ロジクールのMASTERシリーズ(フラグシップモデル)には、MX Master 3といいます縦横2つのホイールを搭載した高級マウスがあります。
MX Master 3はプロのクリエーターを想定した製品でして、MX Anywhere 3はMX Master 3を一般向けにモデルチェンジしたマウスとお考えになると良いかもしれません。
本記事では、MX Anywhere 3を実際に使用してみまして、その特長や使用感、メリット・デメリットなどをお伝えします。
※ロジクール社(logicool)は、スイスに本社を置くロジテック社(logitech)の日本法人です。本記事では、MX Anywhere 3の製造元の会社名としてロジクールを使用しております。
※レビュー対象のMX Anywhere 3は、ロジクール社からご提供いただきました。
MX Anywhere 3のスペック
まずは、MX Anywhere 3のスペックをご紹介します。
名称 | スペック | 備考 |
---|---|---|
高さ | 100.5mm | 製品の上端から下端の寸法 |
幅 | 65mm | 製品の左端から右端の寸法 |
奥行き | 34.4mm | 製品の接地面からマウスの一番 高い部分までの寸法 |
重量 | 99g | |
ボタン個数 (本体上部) | 6個 | 左/右ボタン、 ホイールボタン、 ホイールモードシフトボタン、 左側面のボタン2つ |
ホイール | 垂直/水平スクロール | 水平スクロールは左側面のボタ ンを押しながらホイール操作に て行う |
センサー | Darkfield高精度 レーザーセンサー | 暗視野検鏡技術を利用した高 精度なレーザートラッキング 技術を採用 |
接続方法 (2種類) | 無線のみ ①Bluetooth ②Unifyingレシーバー | ①Bluetooth Low Energy必須 ②Unifying USBレシーバー利用 |
対応OS | Windows10以降 macOS 10.15以降 Chrome OS Linux iOS 13.4以降 iPadOS 14以降 Android 5.0以降 | iOS 13.4以降、iPadOS 14以降、 Android 5.0以降はBluetooth 接続のみ(公式情報) |
電源 | 内蔵充電池 | 内蔵充電式リチウムポリマー電池 (500mAh) |
ボタン カスタマイズ | ロジクール専用ソフト Logicool Options使用 | |
カラー | グラファイト/ ローズ/ ペールグレー | |
型番 | MX1700GR MX1700RO MX1700PG | グラファイト ローズ ペールグレー |
いくつか補足させてください。
重量を実際に計ってみました。
94gでした。実際に持った印象は軽いです。
対応OSについては、単にマウスとして認識させるレベルでしたら色々なOSで利用可能なのですが、マウスの詳細なカスタマイズが可能なのはWindowsとmacOSのみということです。
カスタマイズは、ロジクール製のLogicool Optionsというソフトウエアを利用して行います。このソフトウエアが動かないOSではキーカスタマイズできません。
MX Anywhere 3の特長
単に公式サイトに記載されていることをご紹介するだけでなく、可能な限りプラスαの情報をお伝えしたいと思います。
ロジクールらしい握りの気持ちよさと心地よいクリック感
私事ですが、もう10年以上もの間マウスはロジクール製のものしか使ったことはありません。会社から提供されたマウスがロジクール製以外の場合も何度かありましたが、そんなときでも自前のロジクールマウスを持ち込んで使っていました。
MX Anywhere 3を握ったファーストインプレッションは、「いつものだ!」です。
このマウスはかなり高価なのですが、握った感覚に高級という評価はなんか変だと思います。
握った感覚には上質も高級もないと思っています。ただ、手に違和感なく馴染むかどうかが重要という考えです。
MX Anywhere 3は、歴代のロジクールマウスと同じように、私の手になんの違和感もなく馴染んでくれました。もう1か月以上使っていますが、その感覚は全く変わっていません。
もうそれだけで握りは大満足です。
マウス側面の親指と小指があたる部分はシリコーンで覆われていまして、適度な抵抗感があります。
そのおかげで、マウスを動かすときに指が滑りにくくなっていることを付け加えておきます。
左/右クリックボタンは、「カツッ カツッ」としっかりしたクリック感です。
しっかりと言いましても、ボタンが硬くて押しづらいという意味ではありません。
クリック音は好みが分かれるところですが、MX Anywhere 3は静音マウスがお好きな方には向いていないかもしれません。
私はしっかりとクリックした感触を得たいので、とても心地よいです。
ロジクール独自の高精度センサー
MX Anywhere 3の心臓部であるセンサー部分は、Darkfieldという技術が使われています。難しいことはわかりませんが、暗視野検鏡という研究施設の顕微鏡などで利用されている技術をマウスに応用しているそうです。
公式サイトによりますと、透明なガラス(厚さ4mm以上)の上でもマウスを操作できると書いてありました。
早速試してみました。
厚さ4mm以上のガラスは、食器棚のガラスを2枚重ねて使うことにしました。意地悪ですが、表面はクリーナーで磨いてあります。
深さ30cm弱のケースの上部にガラスを置きました。ケースの底は黒くマウスも黒色ですので、写真写りを良くするために、ケースの底に紙を敷いてあります。
実験に使用するマウスは、以下のとおりです。
製品名 | 説明 |
---|---|
ロジクール M555b | レーザーマウス(Bluetooth接続) 2009年発売 |
ロジクール G402 | センサーはDelta Zero技術、Fusion Engine ハイブリッドセンサーを融合した技術 2014年発売 |
MX Anywhere 3 |
まずはM555bから試してみます。
ガラスの上でどんなに動かしても、残念ながら画面上のマウスカーソルはピクリともしませんでした。
次はG402です。このマウスはオンラインゲーム(FF14)で使用していまして、現役で活躍中のお気に入りマウスです。
マウスを動かすと画面上のカーソルは動いたのですが、すぐに挙動不審な動きをするようになってしまいました。
カーソルは動くことは動くのですが、残念ながら実用には耐えられません。
最後は本命のMX Anywhere 3です。
まったく違和感なく動きました。
マウスを置いてある場所を特に意識しなかったとしたら、たぶん透明なガラスの上だということに気づかないと思います。
スゴイです。
気になったので、この超高性能センサーについて調べたところ、2009年にすでにロジクールからDarkfieldのマウスは発売されていたんですね。
今まで高価なマウスに目を向けていなかったことがバレてしまいました・・・。
高速スクロール(MagSpeed電磁気スクロール)
最近のほとんどのマウスには、右/左クリックボタンのほかにホイールが付いていますよね。
私は、ExcelなどのOffice系のソフトや、ネットで調べ物をしたり、本記事のようなブログを書いたりすりことが多いので、ホイールはかなり多用します。
私のようにホイールを多用する方には、MX Anywhere 3のホイールが持つ機能や性能は特におすすめです。
使い始めますとヤミツキになってしまうでしょう。
ホイールは金属製です。色んなマウスを見ていますとたまに同じようなものを見かけますが、私は大好きです。
一般的なマウスのホイールは、「コリコリ」という感じにスクロールが一定の行数で止まるようになっていると思います。「ラチェットモード」ですね。
MX Anywhere 3ももちろん同じことができますが、もうひとつ「フリースピンモード」に変更することが可能です。このモードにすると、ホイールの引っ掛かりが無くなって、ヌルヌル動くようになります。勢いを付けてホイールをはじきますと、しばらく回りっぱなしになって、多量の行を高速にスクロールできます。
「ラチェットモード」と「フリースピンモード」の切り替えは、ホイールボタンの下にある小さなボタンでできます。
実はもうひとつできまして、「ラチェットモード」のときにホイールを強くはじきますと、自動的に「フリースピンモード」に変わってくれるんです。
「SmartShift」という機能になります。
しかも、どの程度の強さではじいたら「フリースピンモード」に変わるかの設定や「SmartShift」の使用有無も変更可能です。
MX Anywhere 3のホイールの使い方について、表にまとめてみました。
使い方 | 解説 |
---|---|
ラチェットモードのみ | SmartShiftを無効に設定して本体のモード 切替ボタンでラチェットにする |
フリースピンモードのみ | モード切替ボタンでフリースピンにする |
通常はラチェットで ときどきフリースピン | SmartShiftを有効にする(デフォルト) |
ホイールにこだわる方は、「SmartShift」は大変おすすめです!
MX Anywhere 3の機能
MX Anywhere 3には、基本機能以外にも便利な機能を持っています。
普段から取扱説明書をお読みにならない方は気づかないまま放置になってしまうような機能でも、試しに使ってみると意外に便利だったりするものがあるかもしれません。
本章の見出しだけでもご覧いただけると幸いです。
接続は無線でBluetoothとUSBレシーバー(Unifyingレシーバー)の2方式
MX Anywhere 3とパソコンやタブレットとの接続は無線で行います。
無線は以下の2種類の方式が可能です。
名称 | 説明 |
---|---|
USBレシーバー | ロジクールの専用レシーバー(Unifyingレシー バー)をパソコンのUSB端子に接続して利用 |
Bluetooth Low Energy | Bluetooth(ブルートゥース) Low Energy をサポートする機器と接続可能 |
他社の無線方式のマウスは、上記のうちのどちらか一方を利用可能な製品が多いのですが、MX Anywhere 3は2方式の利用が可能となっています。
単に2方式を利用可能ということだけでも便利なのですが、次に説明します接続先をワンタッチで切り替え可能なボタンと組み合わせることで、さらに便利になります。
特に、タブレットの操作にマウスをお使いの方にはおすすめです。
最大3台のデバイスと接続できてワンタッチで切り替え可能
MX Anywhere 3の裏側に接続先の切り替えボタンがあります。
ペアリングは、ボタンを何度か押して設定したい番号を点滅させたあと、再度ボタンを押して高速点滅の状態にすることで可能になります。
1度ペアリングしますと、切り替えボタンを押して切り替えるだけでパソコンやタブレットとの接続は完了です。
切り替え先を変更することで、それまで接続していたパソコンなどとの接続は解除されます。ペアリング設定は消えませんのでご安心ください。
電源はUSB経由で充電可能な内蔵充電池
電源は、MX Anywhere 3の本体に内蔵されている充電池を使用しています。
充電池は交換できるように作られていませんので、MX Anywhere 3の充電は上部にありますUSB端子(Type-C)にケーブルを挿して行います。
充電池の残量の確認は、何らかのマウス操作を行った際に点灯するLEDランプで行います。
LEDランプは、点灯してもすぐ消えます。
消えた後に、すぐマウスを動かしても点灯しません。一定時間経過後(時間は不明)、再度マウス操作を行うとまた点灯します。忘れたころに点灯する感じですね。
充電状態は一度確認すれば、しばらくは確認する必要なありませんので、省電力のことを考えますと、この仕様で十分だと思います。
地味ですが、こういった細かいところまでキチンと設計するのはさすがロジクールですね。
ロジクール製ソフトウエアLogicool Optionsでカスタマイズ可能
MX Anywhere 3の細かい設定は、Logicool Optionsといいますロジクール製ソフトウエアで行います。
設定画面は、以下の3カテゴリに分かれています。
- マウスボタンのカスタマイズ(機能割り当て)
- ポインタやスクロールの設定
- Flow(マウスポインタが異なるデバイス間を自由に移動できる)設定
上の3つについて、簡単に解説します。
マウスボタンのカスタマイズ(機能割り当て)
MX Anywhere 3には、以下の4つのカスタマイズ可能なボタンがあります。
- ホイールボタン
- ホイールボタン下の小さなボタン
- 左側面のボタン(前)
- 左側面のボタン(後)
各ボタンには、以下のような機能を割り当てることが可能になっています。
ポインタ速度を変更、ホイールモードシフト、ジェスチャーボタン、Cortana、キーストロークの割当、アプリケーションを切り替える、タスクビュー、ウインドウの表示/非表示、ウインドウを閉じる、プリントスクリーン、コピー、切り取り、貼り付け、・・・
などなど、他にも多数
割当によっては、思わぬ作業工数削減につながるかもしれませんね。
ポインタやスクロールの設定
マウスポインタの動きやホイールの動作に関する設定が可能です。
ポインタ設定は、以下の設定が可能です。
- ポインタの速度
マウスのDPI設定(マウスを一定距離動かしたときのポインタの移動距離の設定)
ホイール設定は、以下が可能です。
- スムーズスクロール
不明(公式サイトに解説がなく、設定を変えても動きに変化が見られません)
※機会があったらロジクールに確認してみます - スクロールホイールの方向
スクロール方向を逆転させることが可能 - 水平スクロール
マウス左側面のボタンを押しながらホイールを動かすと水平スクロールする機能 - スクロールの力
ホイールのコリコリ感の強さ - SmartShift
ラチェットとフリーの2モードを自動的に切り替える機能の使用有無 - SmartShiftの感度
モードの切り替えに必要なホイール動作の強度 - 固定スクロールホイールモード
ホイールのモードをどちらかに固定する
Flow(マウスポインタが異なるデバイス間を自由に移動できる)設定
マウスカーソルを画面の端に移動させることでコンピュータ間をシームレスに切り替えることが可能な機能です。
テキストや画像、ファイルのコピーや貼り付けも可能だそうです。
ただし、移動元と先にはLogicool Flowの設定を行っている必要があります。
現在、WindowsマシンやmacOSマシンを複数所有していないために、Flow機能をまだ試せていないためレビューできません。
申し訳ございません。
便利そうな機能ですので、いつか使ってみたいです。
MX Anywhere 3の使用感・レビュー
MX Anywhere 3を実際に使用してみた感想などをご紹介させてください。
MagSpeedスクロールがやみつきに
マウスの基本的なポイント(握った感触、センサーの反応、クリック感、ホイールの動き、ボタンの数と種類など)はどれも合格点でとても良いマウスだと思います。
でも、その品質に一般的なマウスより高い金額を払うかといえば、多少の戸惑いはあるでしょう。
でも、MX Anywhere 3のホイール機能はヤミツキになりつつあります。
といいますか、今後使用するマウスにMX Anywhere 3のような「フリースピンモード」のヌルヌル感がなかったり「SmartShift」が使えない製品だったら、ストレスが溜まりそうな身体になってしまうと思います。
ロジクールの高価なマウスしか受け入れられないという事態は、高給取りじゃない私にとって大問題です・・・。
今使ってるマウスが壊れないように大事に使うしかないですね!
Logicool Optionsによるカスタマイズ
上に書きました通りMX Anywhere 3のホイールがお気に入りなのですが、その要因のひとつとしてLogicool Optionsを使用して細かい調整が可能な点があります。
とても便利な機能があったとしても、自分の思い通りに動かなければ、それがストレスになっていつか使わなくなってしまうのではないでしょうか。
ホイールのコリコリ感(ラチェット動作)の強度やSmartShiftの感度を変えることができるのは、さすがロジクールと言わずにはいられません。
また、ボタン機能のカスタマイズの中にキーストロークの割当がありますので、ほとんどのキー操作をマウスに登録することができるようになっています。
今はまだデフォルトのまま使っていますが、色々試して自分だけの設定を見つけたいと思います。
現状は、「カスタマイズが可能」という安心感だけで大満足です。
MX Anywhere 3のメリット・デメリット
MX Anywhere 3のメリット・デメリットをまとめてみました。
MX Anywhere 3のメリット
本製品を利用することで得られるメリットを挙げてみました。
使う場所を選ばない
MX Anywhere 3の超高性能センサーのおかげで、透明なガラス(厚さ4mm以上)の上でも使うことができます。
布や座布団でも試しましたが、問題なく使えました。座布団は物理的に動かしづらかったですが。
つまり、滑らかなスペースがさえあれば、マウスパッドを準備することなく作業ができることになります。
あえてマウスパッドを使うのでしたら、それはマウスの滑りやすさのためでしょう。
どこでも使えるということは、省スペースということにもなりますね。
この安心感は素晴らしいと思います。
電池の心配がいらない
どこに出かける時でも、カバンの中にはモバイルバッテリーを入れている方は多いと思います。
私は、緊急用5000mAh程度の小さくて軽量のバッテリーをいつも持ち歩いています。
万が一マウスのバッテリーが切れてしまっても、電池を買いに行かなくて済むのはうれしいです。
MX Anywhere 3のデメリット
本製品を利用することで、以前まで利用してきたマウスと比べたデメリットを挙げてみました。
USBレシーバー格納場所がない
MX Anywhere 3は非の打ちどころのないマウスなのですが、1点だけ残念なことがあります。
マウスの使い勝手とは全く関係ありませんので、大問題ではないのですが。
USBレシーバーの収納場所がないのです。
私は、USBレシーバーが使えるガジェットの場合、真っ先に格納場所をチェックする悪い癖があります。
今回も例外なくチェックしたところ、見つけられませんでした。
気にしない方にとりましては、どうでも良いことですね。
マウス単体として考えると高価
機能的にも性能的にもハイレベルですので納得はしているのですが、やはり一つのマウスと考えますと高価でしょう。
現在(2022年1月)のロジクールオンラインストアでの価格は、10,780円(税込)です。
やはりマウスの価格が5桁になりますと、手が止まりますよね。
でも毎日、それもかなりの時間お使いになるものですので、たまには高価で高性能なマウスをご利用になるのも全然アリだと思います。
ちなみに、Amazonの製品ページで確認したところ、ロジクール直販ショップより安かったです。(2022年3月)
ロジクール直販の安心感かAmazonの割安感か、お好きな方でどうぞ。
楽天で確認したところ、楽天市場内にロジクール公式ストアがありまして、価格はロジクールオンラインストアと同じ価格でした。
まとめ
個人的にマウスはロジクール製しか使いませんが、本記事を書くにあたって忖度していないつもりです。
でも、歴代のマウスの中では文句なしのトップでした。
握りやクリック感などマウスの基本機能的には、ロジクール製なので普通に使いやすかったのですが、やはりホイールの使用感のポイントが高かったです。
MX Anywhere 3を使ってみて気づいたのですが、マウスのホイールって結構な頻度で使っているようです。
自宅ではロジクールのトラックボールM575を使っていますので、MX Anywhere 3は外出先で使用することになります。
というわけで、今まで使っていた外出先用のロジクールのBluetoothマウスM555bは倉庫行きになってしまいました。
今使っていますトラックボールM575は、レビュー記事を公開していますので、ご興味のある方はお暇なときにでものぞいてみてください。
向いていない使い方もありますが、一般的なパソコン作業ではとても快適ですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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